エスクロー的業務について
完全な中立的立場ではなく、利害関係者一部又は全部の代理人として、利害関係人の共有する財産を預かる業務があります。
完全な中立的立場の業務はエスクローです。これも可能ですが、弁護士が契約の当事者になってしまうので、通常は行いません。
通常は、エスクローに準じるエスクロー的な業務を行います。つまり、弁護士が、利害関係人の一部又は全部の代理人となり、全員の共有する財産を預かり、共有者間で分け方が決まったら、全員に分配します。
一部の代理人となった場合は、分け方が決まるまでは、全員の合意なく財産を動かさない旨を本人に誓約してもらいます。
遺産分割などの場合、被相続人の財産を預からなければならない場合がときたまあり、しかし相続人間で争いがあると、誰が預かっても反対意見が出ることがあります。そのような場合、相続人の一部又は全部に代理人弁護士を付けてもらい、弁護士であれば信用できるので、それなら構わないと話が進む場合があります。
弁護士は代理人ですので、原則は本人の指示に従いますが、上記のような誓約をしてもらえば、それに反する行為をすることが本人の不利になるので、容易に財産を毀損又は減衰させることはありません。
預かったままで、本人のための代理人として遺産分割協議を進め、協議が整えば、それにしたがった分配をします。