【ネタばれ】法廷ドラマで見る弁護士実務#3

#Goodwifeの日米版を比較すると、主人公の家の様子から、どの程度の質素さないし豪華さがあると視聴者はその主人公を信頼するかという点が分かります。蓮見弁護士がアリシアのような家に住んでいたら、日本の視聴者の信頼を得られないと考えて、ああいう設定になっているのかもしれません。

日米の違いとして、例えば米国では、裁判官が法廷でコーヒーを飲むとか(最高裁判所で見ました)、家事事件の成功報酬が禁止されているとか、民事調停はホテルで行うとか、家事調停では弁護士の代理が禁じられている州もあるとか、様々です(うち、いくつかは#Goodwifeで見ることができます)。過失相殺の考え方も、州により大きく異なります。

米国は民事法も州によって異なるので、法律家の発想が相対的になりがちです。このルールが絶対という確信は余程根源的なルールにしか持てません。一方、日本はガラパゴスというか、底流する多くのルールが画一的です。なので、特に実務家は、自分の慣れ親しんでいる実務を、どうしてもアプリオリに考えてしまうため、法廷でコーヒーを飲むのは非常識とか、どんな事件でも成功報酬が当たり前とか、家事調停でも弁護士代理人は当然とか、実務に対する懐疑というか疑問が生じづらくなっています(今までICTが普及しなかったのも、疑問を抱くという本来根本的なはずの人間の精神作用が働きづらかったためかもしれません)。しかし、度が過ぎると、法曹国粋主義になってしまうので、比較法的な考え方は大切だと思います(実体法だけでなく、実務のあり方についても)。

2019年02月03日